かつては”ぜいたく病”などと言われ、日本人にはほとんど見られなかった痛風ですが、今や誰もがかかりうる病気へと変わってきました。
その背景には食生活の欧米化や生活習慣の変化が大きく影響しています。
痛風に悩む人や、健康診断などで尿酸値が高めと指摘された人は特に生活を見直し、痛風発作や合併症の予防に取り組みましょう。
痛風とはどんな病気?
血液中に尿酸という物質がどのくらい含まれているかの値を尿酸値といいます。
その尿酸値が基準値を超えたとき尿酸が高めと指摘され、そのような状態を医学的には「高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう)」といいます。
高尿酸血症を放置していると、やがて足の親指のつけ根などに激痛の発作を起こします。これが「痛風」という病気です
痛風はどんな人がなりやすい?
高尿酸血症・痛風は患者の約99%が男性です。
これには女性ホルモンが関係しており、女性ホルモンのエストロゲンには尿酸の排泄を促す作用があり、これが尿酸値の上昇を抑えていると考えられます。
年齢的な特徴としては時代とともに変化していますが、成人以降に発祥することがほとんどです。ひと昔前は、痛風といえば中高年の病気で発祥のピークは50代でしたが、近年では若年化しており、そのピークは30代まで下がってきています。
痛風発作はどんな時に起こりやすい?
ある日突然起こると言われている痛風ですが、発作を起こしやすい条件が重なる時間帯があります。
それは夜中から明け方にかけての時間帯です。
その理由は、就寝中は副交感神経が優位になり血圧が下がって血流が悪くなることや、体温が下がる事などが考えられます。
その他にも、酸値を上昇させる要因の1つとして運動があげられます。
激しい運動の後は尿酸値の急激な上昇を招くことがあり、発作のきっかけになる事があります。また長時間歩いた後や、捻挫をした時、新しい靴にした時なども、関節に負担がかかることで発作のきっかけになる事があります。
痛風発作がおきてしまった時の対処法
できるだけ早く病院を受診することが望ましいのですが、夜中や明け方に発作が起きた時はまずは自分で対処するしかありません。そんなときの応急処置のポイントを覚えておきましょう。
まず、初めての発作の多くは足の付け根の関節に起こります。発作が起こるのは一カ所で複数の関節が同時に痛む事は慢性期以外ではほとんどありません。この部位にケガや打撲など他に激痛の原因が思い当たらなければ、痛風発作と考えてほぼ間違いありません。
痛風発作ならば、患部で炎症が起きているためこれを冷やして炎症を抑える必要があります。
冷やす方法としては、氷水や保冷剤なども有効ですが、腫れた患部にのせることで痛みが増す場合は冷却湿布薬がおすすめです。さらに患部を心臓よりも高くして冷やすと、さらに鎮痛効果が高くなります。仰向けに寝ている状態であれば、枕や座布団を重ねて足を高くし、湿布薬をこまめに取り替えましょう。
発作が起きている時は歩き回ったりすることは厳禁です。
痛みのピークが過ぎるまではできれば仕事も休んで安静にしている事が重要です。
また痛いからといって患部をマッサージしたり入浴して温めたりしてはいけません。
炎症がひどくなり、痛みも増大するので気をつけましょう。
痛風はすぐに病院に行きましょう
主治医から鎮痛剤をもらっている場合は服用し、とりあえず痛みを凌いで病院に行くことをおすすめします。
痛風でよく用いられる薬としては非ステロイド系鎮痛薬のロキソプロフェンナトリウム(商品名:ロキソニンSなど)やイブプロフェン(商品名:イブプロフェン)などがあります。
痛風の痛みは非常に強く、市販の鎮痛剤では十分な効果が得られないことがあります。
しかし、決められた用量の何倍も薬を服用したり、間隔をあけず何回も服用してはいけません。用法・用量を超えて服用しても効果は得られず、胃痛などの副作用が出てしまうので気をつけましょう。
また痛みをお酒で紛らわすのは逆効果で、症状を悪化させる原因となってしまうので発作中の飲酒は一切控える様にしましょう。
痛風予防~まずは生活習慣の見直しを
高尿酸血症・痛風の原因の多くは、生活習慣にある事が分かっています。
まずはこれまでの生活習慣のどこに問題があるのかを見つけ出すことが大切です。
食生活や運動習慣、体調管理としては体重や血圧、尿の酸性度(pHペーハー)をチェックするなど、自分の生活習慣を見直してみましょう。
食事療法で痛風予防
わが国では食生活の欧米化に伴い、高尿酸血症が急増しました。
そして同時に増加しているのが肥満、メタボ(メタボリックシンドローム)です。
特に内蔵脂肪型肥満は高尿酸血症の大きな要因の1つであり、それが動脈硬化を進行させ、脳や心血管障害のリスクを高めてしまうと言われています。
そこで食生活においては過食をしていないか、高カロリー食や動物性脂肪の多い食品を摂りすぎていないか、プリン体を多く含む食品の摂り過ぎやアルコールを飲み過ぎていないかなどを見直し、改善していきましょう。
栄養バランスとカロリーオーバーに注意する
バランスの良い食事とは、炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維をバランス良くとることのできる食事をいいます。
自分の適正カロリーを知り、野菜を多めに摂るよう心がけ、色々な食材をまんべんなく摂る様にしましょう。
【適正カロリーの計算方法】
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
1日の適正食事量(kcal)=標準体重(kg)×30~35kcal
(体重1kgに対する必要エネルギー量は、普通の労働で30kcal、重労働の場合は35kcal)
食品に含まれるプリン体を気にする
高尿酸血症の食事療法ではプリン体として1日400mgを超えないようにするのが良いと言われています。基本的に食べてはいけないものはありませんが、高プリン食は極力控える様にしましょう。
食品100gあたりのプリン体含有量
極めて多い(300mg~):鶏レバー、マイワシの干物、イサキ白子、煮干し
多い(200~300mg):豚・牛レバー、カツオ、大正エビ、マアジ・サンマ干物
少ない(50~100mg):ウナギ、ホタテ、豚ロース、牛ヒレ、ベーコン、カリフラワー
極めて少ない(~50mg):白米、パン、うどん、蕎麦、卵、イクラ、豆腐、牛乳、チーズ、バター、果物、じゃがいも、キャベツ、トマト、人参、大根、白菜、海藻類
尿酸値を下げる!尿をアルカリ化する食品を積極的に摂る
高尿酸血症や痛風の人は尿が酸性になりやすく、酸性尿になると尿酸が尿に溶けにくくなり尿酸結晶をつくりやすくなってしまいます。それにより尿路結石もできやすくなります。
そこで尿を酸性化する食品を少なくして、尿をアルカリ化する食品を積極的に摂る事がすすめられます。
アルカリ化する食品:ひじき、ワカメ、昆布、大豆、ほうれん草、ゴボウ、サツマイモ、人参、バナナ、里芋、キャベツ、大根、じゃがいも、グレープフルーツ、アスパラガス
酸性化する食品:卵、豚肉、サバ、牛肉、カツオ、ホタテ、白米、ブリ、マグロ、サンマ、アジ、カマス、イワシ、カレイ、アナゴ、芝エビ、大正エビ (※効果が高い順)
その他、尿酸値を下げるヨーグルトやクエン酸も尿をアルカリ性にするクエン酸ジュースもあります。
個人的におすすめはお酢の料理やクエン酸です。
管理人はビールも毎日飲んでいましたが、朝と昼クエン酸ジュースを飲んでいたら健康診断でひっかからなくなりました。
個人差があると思いますが、お酢やクエン酸は効果があるかもしれません。
|
ただジュースは糖分も入っているので一日の量に気をつけましょう。
痛風は酒に関係する?
痛風とビールの因果関係はよく言われていますが、最近、ビールは関係ないという医者もおります。
いままで痛風になった人達をみてきて思うのですが、ビールというより、お酒の飲みすぎ、お酒の量が関係あるのではないかと思います。
これも管理人の私事ですが、1年を通して酒の量が多かった時や長い労働時間とストレスが重なった時、多少負荷がかかる運動を行ってた時期も数値があがりました。
終わりに。。。
痛風という病気は激痛の発作が治まるとあたかも病気が治ってしまったように思えてしまいますが、基礎にある高尿酸血症という病気が治ったわけではありません。
そこで尿酸値をコントロールする治療をし、自己管理していくことがとても重要になります。
上記に記したことの他に重要な事は、お酒の取りすぎに注意する事、果糖の摂り過ぎに注意する事、水分を十分に摂る事、塩分を控えめにする事、適度な運動を心がける事、ストレスを上手に解消する事などです。
自己管理をする事が再発予防の決め手になりますので、尿酸値のコントロールをし無理のない程度に生活改善をして健康な毎日を送りましょう。